今回は、磁北の西偏補正を解説します。
あの地形図右下に書いてある、
5.磁針方位は西偏約◯°〇〇′の補正です。
やり方は2通り。
A.コンパスで補正
B.地形図で補正
結論から言うと、
B.の地形図で補正した方が、
山行中は楽で、読図も早いです。
私もこちらを使っています。
山行前の準備が少し必要ですが、
山の中で素早くコンパスを振ることが出来ます。
それでは
B.地形図での西偏補正を解説して行きます。
(A.はB.の後に解説します。)
やることは、
地形図に
磁北線を引く。
これだけです。
分度器を使っても引けますが、
できるだけ正確に引きたいので、
タンジェント(タンジェントを計算するサイト)を使います。
高校の数学で登場した三角関数ですが、計算はソフトがやってくれるので、
私がする事は角度と長さを入力するだけです。
①まず地形図の縦の長さと西偏角度をチェックします
すると、西偏角度は6°10′=6.1666...≒
6.17°(詳しくは
こちら)
長さは36.86...≒
36.9cm
と分かります。
(*上記の数値は地形図によって異なるので毎回チェックして下さい)
②次に
タンジェントを計算するサイトを開いて、
②「底辺」に
36.9 「角度」に
6.17を入力して、
[計算]をクリック
③計算された「高さの値」
3.989...cm≒4㎝を、地図の上端に右から1つ目マーク。
2つ目以降は
4.023...㎝≒4cm間隔でマーク。
④③でマークした
1つ目の上点と
右下コーナーをつなげる。(1本目)
⑤2本目からは、4㎝間隔の平行線として、
③のマークをつなげていく。
(上記の地図の縮尺にもあるように、
1/25000地形図は
4㎝=1kmを表す。)
(注意点:1本目と2本目以降の線は間隔が似ているが意味は異なる。
□1本目は角度を表す線。
□2本目以降は1㎞間隔の平行線。)
地形図原本へのペン入れは、
赤の蛍光ペンを使います。
地図情報が透けるので、
線がうるさくなる事はありません。
逆に赤のボールペンで引くと強過ぎて、
地図情報が消えてしまいます。
(夜間に使用する場合は白黒コピーに黒ボールペンが見やすいです。
この詳しい解説は、次回以降にする予定です。)
次に
A.コンパスでの西偏補正を解説します。
やることは単純です。
西偏角度分、
リングを反時計周りに
回して差し引く。
それでは早速やってみましょう。
まず下の地図の中岳から大喰岳に向かうとします。
コンパスを中岳から大喰岳方面へ、
真北に構えます。
すると磁北分だけ磁針がズレますね。
これをリングを回して補正してやります。
西偏角度は7.5°
(調べ方は、地形図の右下を見るか、
0.4コンパスの北と地形図の北は異なる?)
リングは1目盛り2°ですので、
7.5°は2+2+2+1.5=4目盛り弱。
これだけ西側に回します。
コンパスによる補正はコレで
完了です。
一見簡単そうに見えますが、
山行中に毎回補正するとなると手間です。
しかも精度も悪いです。
針やルートに合わせに行ってしまいそうになります。
コンパスを使うというは、
客観的な視点を持つという事です。
大体地図を見ているので、
どっちが北か南か、
と言うのは大方検討が付きます。
しかし、それは大方であって、
疲労している時や悪天候の中であれば、
容易にブレます。
そのため自分のメンタルもフィジカルにも共に無関係に、
絶対的な指針となるものが欲しいのです。
だから山中において、
コンパスには操作的な介入をなるべくせずに、
ただ振る事だけに没頭させたいのです。
山行前の準備は増えますが、
ぜひ磁北線を引いて欲しいと思います。